会社員がAIブログを始めようとして、最初にぶつかった「情報漏洩問題」

AI仕事術

「会社員としてAIを使って試行錯誤した経験を、ブログに書いてみたい」

そう考えたとき、最初に浮かんだのは期待でした。

AIを使って文章を整えたり、業務上の悩みを整理したりすることで、これまで自分一人では形にできなかった経験を記事にできるかもしれない。

しかし、実際に書き始めようとした瞬間、別の問題にぶつかりました。

会社の仕事を題材にする以上、どこまで書いてよいのか分からない。

総務の仕事には、社員の個人情報、給与や人事制度、社内規程、取引先とのやり取りなど、外に出してはいけない情報が数多く含まれています。

ブログの内容を具体的にしようとするほど、情報漏洩の危険も高まります。

今回は、会社員である私がAIブログを始めるにあたり、最初に悩んだ「情報漏洩問題」と、現在考えている現実的な線引きについてまとめます。

ブログに書きたい経験ほど、会社の中にある

私がブログで発信したいのは、AIの機能紹介だけではありません。

「この機能が便利です」と説明するだけなら、すでに詳しい記事がたくさんあります。

私が書きたいのは、総務担当の会社員が実際の仕事や副業、日常の中でAIを使い、うまくいったことや失敗したことを記録するブログです。

ところが、実体験を書こうとすると、どうしても会社の仕事が題材になります。

たとえば、複雑なExcelファイルをAIに読み解かせた経験、社内向けの文章を整えた経験、制度改定の考え方を整理した経験などです。

こうした話は、AIが会社員の仕事でどのように役立つのかを伝えるうえで、非常に分かりやすい題材です。

一方で、具体的な数字や資料の内容、制度の仕組みまで書けば、会社を特定されたり、社内情報を推測されたりする可能性があります。

わたし
わたし

実体験を書かないと、ただの一般論になってしまいます。でも、具体的に書くほど会社の情報に近づいてしまうんですよね

アウル先生
アウル先生

ええ。問題は『書くか、書かないか』の二択ではありません。実体験から何を残し、何を取り除くか。その編集こそが重要なのでしょう

このやり取りで気づいたのは、経験そのものを捨てる必要はないということでした。

公開するのは会社の情報ではなく、そこから得た考え方や学びです。

注意すべきなのは、個人情報だけではない

当初、私は「個人名や住所を書かなければ大丈夫なのではないか」と考えていました。

しかし、情報漏洩の対象は個人情報だけではありません。

会社名、部署名、社員名、メールアドレス、顧客名、取引先名はもちろん、給与データ、社内規程の本文、人事制度の詳細、未公開の計画、社内資料の画像なども、ブログに出すべきではない情報です。

さらに注意したいのが、複数の情報を組み合わせることで会社や人物が特定されるケースです。

会社名を書いていなくても、業種、地域、社員数、特殊な制度、発生時期などを細かく書けば、関係者には分かってしまう可能性があります。

「名前を消したから匿名」というわけではありません。

ここは、ブログを書く側が特に過小評価しやすい部分だと思います。

また、会社で使用を認められているAIに入力できる情報と、個人ブログで公開してよい情報も別です。

会社のルールに沿った環境でAIを使えていたとしても、その結果や検討内容を外部に公開してよいとは限りません。

AIに入力してよいことと、ブログに書いてよいことは、まったく別の判断です。

わたし
わたし

会社で使えるAIなら、その内容をブログでも紹介してよいような感覚が少しありました

アウル先生
アウル先生

そこは分けた方がよいでしょう。社内利用の許可は、社外公開の許可ではありません。便利な道具ほど、利用範囲と公開範囲を混同しないことが大切です

言われてみれば当然ですが、AIを使って記事を書くと、社内での検討と社外への発信が同じ画面上で連続しているように感じられます。

そのため、意識して境界線を引く必要があります。

私が決めた、ブログを書くときの線引き

そこで私は、仕事に関する記事を書く際、次のようなルールを設けることにしました。

1.会社を特定できる情報は書かない

会社名、所在地、具体的な部署構成、社員数、取引先など、特定につながる情報は原則として出しません。

業務内容を説明するときも、「総務業務」「社内制度」「複数シートのあるExcel資料」など、記事の理解に必要な範囲まで抽象化します。

2.実際の資料や数値を、そのまま使わない

社内資料の画像、規程本文、給与額、社員データなどはブログ作成用のAIに渡さず、記事にも載せません。

数字が必要な場合は、架空の数字に置き換えるか、増減率や考え方だけを説明します。

ただし、数字を変えただけで制度全体が推測できる場合もあります。単純に数値を置き換えれば安全になるとは考えないようにしています。

3.事例ではなく、判断の過程を書く

「会社でどのような制度を変更したか」ではなく、「複雑な制度を検討するとき、AIにどのような観点で確認してもらったか」を書く。

「誰がどのようなミスをしたか」ではなく、「文章の行き違いを減らすため、AIをどう使ったか」を書く。

出来事の詳細よりも、自分が何に悩み、どのように考え、何を学んだかを中心にすれば、会社の秘密を出さずに実体験の価値を残せます。

4.社内用とブログ用の作業を分ける

会社で扱う情報と、個人ブログで扱う情報は混ぜません。

社内のAIで行った検討結果を、そのまま個人用AIへ移すのではなく、一度自分の中で「一般化できる学び」に変換します。

そのうえで、会社固有の情報を取り除いた状態からブログの記事を作ります。

私の中では、次の三段階に分けています。

社内での経験 → 自分なりの学び → 公開できる一般化された記事

この一工程を挟むだけでも、誤って具体的な情報を貼り付ける危険を減らせます。

さらに私は、ChatGPTでブログを書くための専用プロジェクトを作り、その中に「マスターチャット」を設けています。

マスターチャットとは、ブログ全体の方針や記事作成時のルールをまとめておく、いわばブログ制作の基準書です。

そこには、たとえば次のようなルールを記載しています。

  • 会社名、個人名、取引先名を記事に出さない
  • 社内資料をそのまま貼り付けない
  • 実際の金額や数値は必要に応じて抽象化する
  • 業種、地域、人数、時期などを組み合わせた特定リスクにも注意する
  • 仕事の事実ではなく、悩んだ過程や学びを中心に書く
  • 記事の最後に情報漏洩の可能性がないか確認する

そして、記事ごとに新しいチャットを作るときも、このマスターチャットのルールを前提として文章を作成するようにしています。

毎回ゼロから注意事項を伝えるのではなく、プロジェクトの中に共通ルールを置くことで、記事によって判断基準がぶれにくくなるからです。

わたし
わたし

毎回気をつけようと思っていても、記事を書くことに集中すると、注意事項を忘れてしまいそうです。マスターチャットを作成しておくと安心感が出ますね!

アウル先生
アウル先生

人の注意力だけに頼らず、先に仕組みにしておく。よい考え方です。ただし、ルールを作っただけで安全が保証されるわけではありません。最後に判断するのは、あくまでご自身ですよ🦉

この点は重要です。

マスターチャットを作ったからといって、情報漏洩を完全に防げるわけではありません。

ChatGPTが会社の内部事情をすべて理解しているわけではなく、どの情報から会社や人物が特定されるかを完全に判断できるとも限りません。

マスターチャットは、安全を保証するものではなく、見落としを減らすための補助線です。

それでも、ルールを頭の中だけに置くより、文章として固定しておく方が、記事作成時の判断はしやすくなりました。

5.最後は必ず人間が読み直す

AIに「個人情報や機密情報が含まれていないか確認してください」と依頼することはできます。

しかし、AIの確認だけで安全を保証することはできません。

記事の背景や会社の事情を知っているのは自分です。

関係者が読めば会社や人物を特定できないか。公開後に説明を求められて困る内容がないか。最後は自分で判断する必要があります。

私が公開前に確認しているのは、単に「個人名が入っていないか」だけではありません。

  • 会社独自の制度が詳しく書かれていないか
  • 発生時期や地域から勤務先を推測できないか
  • 社員や関係者が読んだときに、自分のことだと分からないか
  • 会社から説明を求められた場合、正当な理由を説明できるか

こうした点を読み直し、少しでも迷う部分があれば削除するか、さらに抽象化します。

判断に迷う内容は、書かない。

これは消極的に見えますが、会社員が継続して発信するためには必要な基準だと考えています。

制約があるからこそ、書ける記事もある

情報漏洩を気にしすぎると、「仕事のことは何も書けない」と感じます。

私も最初はそう思いました。

しかし、会社名や具体的な制度を書かなくても、仕事で迷ったこと、AIへの質問の仕方を変えたこと、AIの回答をそのまま採用せず確認したこと、期待したほど役立たなかったことは書けます。

むしろ、読者にとって参考になるのは、会社固有の細かな情報よりも、別の職場でも応用できる考え方かもしれません。

わたし
わたし

秘密を伏せると、記事の価値まで薄くなると思っていました。でも、残すべきなのは会社の情報ではなく、試行錯誤の部分なんですね

アウル先生
アウル先生

その通りです。具体性とは、固有名詞や実際の数字を出すことだけではありません。迷った理由や判断基準を丁寧に書くことも、十分な具体性になります

この言葉は、今後のブログの方向性を考えるうえでも重要でした。

私は専門家として完成された正解を教えるのではなく、会社員としてAIを使いながら悩み、試し、修正していく過程を書こうとしています。

その過程であれば、会社の秘密を公開しなくても伝えられます。

失敗したことや、AIをうまく使えなかった経験も、会社固有の情報を取り除けば誰かの参考になります。

「何をしたか」だけではなく、「なぜ迷ったのか」「どこで判断を誤ったのか」「次はどう改善するのか」を書く。

それが、「会社員の試行錯誤」というブログだからこそ出せる価値なのだと思います。

まとめ:発信する前に、情報を一段階抽象化する

会社員が仕事の経験をブログに書く場合、情報漏洩のリスクをゼロにすることは簡単ではありません。

だからこそ、「個人名を消せばよい」「会社名を書かなければよい」と考えるのではなく、公開する情報を一段階抽象化する必要があります。

私が今後守る方針は、次のとおりです。

  • 会社名、個人名、社内資料、具体的な金額、制度の詳細、未公開情報は出さない
  • 複数の情報を組み合わせた特定リスクにも注意する
  • 社内用AIとブログ用AIの作業を分ける
  • ChatGPTのプロジェクト内にマスターチャットを作り、共通ルールを固定する
  • 事実の詳細より、悩み・判断・学びを書く
  • 公開前に、自分の目で最終確認する

AIは、会社員の経験を言葉にする強力な相棒です。

ただし、AIが記事を書いてくれるからといって、公開の責任まで引き受けてくれるわけではありません。

マスターチャットにルールを設定しても、最終的に何を入力し、何を外に出すのかを決めるのは自分です。

だからこそ、注意力だけに頼るのではなく、マスターチャットのような仕組みも使いながら、最後は自分の目で確認する。

このブログでは、情報漏洩に注意しつつ、会社員がAIと一緒に試行錯誤する過程を正直に記録していきます。

皆さんは、仕事で得た経験を外部に発信するとき、どのような基準で「書くこと」と「書かないこと」を分けていますか。

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